日本国憲法第二十七条一項は、「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」としている。
これが、「国民の三大義務」のうちの一つである、勤労の義務の規定である。
読者は他の二つが「教育を受けさせる義務」と「納税の義務」だということも含めて、
おそらくどこかで習ったことがあるに違いない。

「勤労の義務」に話を戻すと、なぜ憲法は私達に働くことを義務づけるのだろうか?
これをテーマに思考を深めてみてほしい。
「義務」といっても、働いていないからといって人々は処罰を受けたりはしないし、
強制的な労働が憲法の他の部分で禁じられている「第十八条」ことからしても、
あくまで倫理的な規定であることがわかる。