病気のはじまり

−加賀谷さんは中学生のときから自分の臭いについての幻聴に悩まされてきたそうですが、診断名がついたのはいつ頃だったのですか。

加賀谷:中学生の頃から、誰もいっていないはずなのに「臭い」という声(幻聴)が聞こえるようになりました。これを自己臭恐怖といいます
毎回、「これを飲みなさい」とお薬を出されるだけで病名を教えてもらったことはありませんでしたね。

精神科閉鎖病棟に入院した時にはじめて「統合失調症」という病名を聞いたのですが、その病院の主治医によれば、中学生の頃の「臭い」という幻聴が統合失調症の始まりではないかということでした。

先生によると、統合失調症という重い病気であると告知してしまうと重く受け止めかねないのであえて病名は伝えないという考えもあったようですね。

寛解してから

加賀谷:「クリアになった」という印象です。以前は、自分の顔に薄い膜が張ってある状態で、人と話をしていてもまるで水の中で話をしているような状態というか、自分の言葉が相手に届いているのかどうかも分からない感じでした。

実家に引きこもって読書ばかりの毎日でしたが、寛解してからは今度は逆に読書ができなくなりました。
引きこもれなくなるんです
「あれもしたい、これもしたい」といろんなことにアクティブに気持ちが向いてしまって、好奇心を取り戻したんですね。

元気さと明るさを取り戻した僕をみて、お母さんも「潤さんに人間らしい心の機微が戻ってきた」と感激して泣いてくれました。

アルバイトやダイエットにも挑戦しました。当時105kgも体重があったので、
ウォーキングを始めました。毎日5時間位、同じルートを歩いていました。

−統合失調症の方は、薬の副作用でメタボになりやすいといわれていますね。

加賀谷:やけになって暴飲暴食することもありました。ダイエットでは歩くだけでなく食事にも気を配るようにして、お母さんに頼んで温野菜をたくさん食べるようにしていました。
結局、一番美味しいのは野菜そのものの味だっていうことに気が付きました。

汗かきで得しました。

加賀谷:舞台では汗だくになりながら一生懸命にお客さんを笑わせて「これならいける」と思いました。