加賀谷 
高校受験の前に先生と母親とぼくで三者面談をしたとき、先生から「中学を卒業したらどうするんだ」って聞かれて「高校には進まずにホームレスになりたいです!」って言ったんです。
ホームレスなら臭いのは当たり前なんだからって。ホームレスなら人と接しなくて済むと本気で思っていたんですよ。臭いと言ったらホームレスだって

加賀谷 
でも母親にどうしても高校だけは受けて欲しいといわれて
補欠合格の5、6番目くらいになっていて。結局繰り上げ合格でその高校に入学することになっちゃったんです。
高校でもやっぱり同じように後ろから声が聞こえました。後ろから声が聞こえるのだからって壁に背中をべったりつけて壁伝いにズルズル歩いていたこともあります。
それで近所の皮膚科に行って「ぼくは臭いので腋の皮膚を切ってください!」ってお願いしたんですけど、「加賀谷くんは臭くないよ」と言われちゃって。「いや臭いです!」って言っても手術してもらえませんでした
総合病院の皮膚科のある先生が診察をしている時間を狙って何度も何度も押しかけたんです。
ストーカーだよな(笑)

加賀谷 5、6回目になって先生が折れて、「そこまで言うなら加賀谷くんのためにも手術しましょう」って言ってくれて。
嬉しくってマリオみたいに「ヤッホー!」と飛び跳ねました。
無事に手術も終わって術後で突っ張る腋を感じながらうきうきと高校に行ったら、
「加賀谷くん、くさい」って聞こえたんです。喜んでいたぶん、ドーンッと落ち込みました。