わが家を襲った「8050問題」元農水次官の事件に何を学ぶか 統合失調症と診断された熊澤英一郎

産経新聞WEB編集チーム
https://seiron-sankei.com/11637

元農水次官、熊沢英昭被告の事件は、官僚組織のトップまで務めた人間が、
息子熊澤英一郎を手にかけたという異例さも手伝い、発生当初から注目を集めた。

ツイッター経由で長男と交わした、膨大なメッセージの内容である。約一年半の間、
その一部を以下、抜粋する。

熊沢被告「ペットボトルを捨てるのだよ」「捨てましたか」「捨てたか」「明日はごみの日」「(メッセージを)読んでいるのか」「返事ないと電話するぞ」
英一郎「捨てました」
熊沢被告「ひげはそったか」「健康的な生活を送りましょう」
「(ツイッターで)本名を出してはダメだ」
英一郎「もうばれてドラクエテンで拡散中です」


熊沢被告「こっちにも迷惑かかっている」「ドラクエから手をひけ」「75歳の父が息子のゴミを片付けるのは滑稽だ」「ゲームより実生活が先だろ」
「ペットボトル(のゴミ出し)で前の家と不動産から苦情が来た」

英一郎「次のゴミで捨てる」

熊沢被告「家の前に(ゴミを)捨てるのはとんでもない」「アスペルガーの悪いところです」

事件に至る背景に、長男のひきこもりと、家庭内暴力が大きく影響していたことは間違いない。

長男は都内有数の進学校である私立中学に入学したが、中学二年頃、学校でのいじめをきっかけに
母親への暴力が始まり、それは英一郎が別居する大学一年まで続いた。

やがて英一郎から「バットで叩く、ライターの火と包丁を突きつけられる、壁に穴を空ける」という暴力が始まり、親は肋骨へのひびや顔のあざなど深刻な被害を受けるようになる。
英一郎は統合失調症と診断された

英一郎の成育歴を見ると、熊沢被告が高い学歴を取得させ、社会で居場所を見つけられるよう苦心した跡がうかがえる。長男は平成五年に高校卒業後、中堅私大理工学部に進学。一人暮らしを始め、
休学と退学を経て十年、別の私大の二年に編入し、十三年に卒業した。
さらにアニメの専門学校やパン製造技術も取得
しかしやがてひきこもり、ゲームに熱中する。