背景に息子は統合失調症、家庭内暴力 被告「相談すべきだった」―元農水次官公判

被告や妻の証言によると、英一郎は中学でいじめに遭い、妻の肋骨(ろっこつ)にひびが入るほどの暴力を振るうようになった。その後、統合失調症と診断され、大学からは1人暮らしを始めた。
 卒業後も就職が決まらず、被告は「生きがいを持たせたい」とアニメやパンの専門学校に通わせた。
アニメプロダクションを志望したが採用されず、被告から仕送りを受け、約11年前からオンラインゲーム中心の生活を送った。

英一郎は約26年ぶりに実家に戻ってきた。妻の前で「お父さんはいいよね。人生、自由になって。自分の人生は何だったんだ」と涙を流したという。直後に被告に暴力を振るい、その6日後、事件が起きた。

「主治医に相談しなかったのは最大の後悔」と声を振り絞った。証人として出廷した主治医は「連絡があれば措置入院など対応できた」と悔やんだ。