入室すると、その教授はニコッと微笑んで着席を促した。

「症例の第1例目を説明して下さい」
「この症例は○○で……これらの所見から、A法で手術を行い、経過良好です」
「なぜA法を選んだのですか?」
「〇〇の理由でA法を選びました」

「A法以外にもB法、C法などの方法がありますよね? あえてA法を選んだ理由は?」
「〇〇だからです」
「理由が少し弱いなぁ」
「……」
「他の理由は? 正直に」
「……実は……うちの教授が……A法にしろと言ったからです」
「あるある! 教授の命令だろ? うん、いいでしょう」

いいの? 本当に正直に言っちゃったけど、いいんだ! その後も症例を10例ほど説明したが、穏やかな春のような面接だった。