【ドクター・オイニー】

ある日のこと。誰もいない外来ブースに行くと、異様なにおいがした。

「この部屋、何か臭くない?」
「あっ、さっきまでドクター・オイニーがいました」

そうだ、と思い出したように、看護師さんが慌しく消臭剤を噴霧した。

かつて私の勤務した病院に、ドクター・オイニーと呼ばれた医者がいた。