・・・・何でそんなに恥ずかしいんだか。
だってさ、中学生の恋愛なんて所詮すぐ終わるっしょ。
ガキの恋愛ごっこでしょ?
まぁ、当然こんな事言えるわけもなく
私は、「てへへ~★」とか言って
愛想振る舞いて可愛くしたやった。
そーすれば、みんな「羨ましいんだ今畜生!」とか
言いながら、笑っている。
・・・あぁ、いつもの日常だね。
全然変わらない。
まぁそれがいいんだろうけど
彼氏が居ようと居まいと、結局はおんなじ
皆で笑って、楽しくて
それで、はい、終わり
結局はこれもガキの友情劇。
本当なんてない
今が楽しければそれでいい
そんな思考。
・・・・くだらない。
・・・・くだらない。
真なんてありやしないこの空間に
猫をかぶって笑う私
あぁ、私も下らないね
「・・・・霧絵さん、疲れてるの?」
「は?」
唐突に、そんな声が、した
それは・・・牧君ではなく、違う男の子。
確か、クラスでも目立たない・・・篠原君。
それが、私達とは離れた場所で、ぼそり、とつぶやいた。
それでも、私にははっきり聞こえた
「疲れてるの?」
と。
あれ?・・・・ちゃんと猫、かぶってるはずなのになぁ。
ちゃんと、楽しそうに笑ってるはずなのになぁ
何で、どうしてだろう?
「・・・・?李柚?」
「ん?なんでもないっっ!!あははー♪」
そう言ってまた、誤魔化す。
もう、篠原君の視線は、私ではなく本に移っていた。
教室の隅で、本を読む彼と
教室の真ん中で、笑うあたし
・・・それは、正反対のようで
それでも、その日、私は初めて
「篠原」を意識した。