専門家のくせに、宙に漂うほど軽くて小さい微粒子が
通常の身の回りのモノと同じ動きをすると思っている時点でかなり痛いが、
ブラウン運動も知らないのだろうか?

当然小さい粒子の方が拡散しやすいが、
0.1 μm(マイクロメートル) の粒子は1秒に対して36.9 μm 変位し、1 μm、10 μm の粒子はそれぞれ
7.4 μm、2.2 μm 変位する。粒径が小さいほど変位が大きく、0.1 μm の粒子は粒径の100倍以上は変位する。

たとえば直径10 μm の円筒状の細孔を空気が流れていると考え、その空気に漂う1 μm の粒子は
細孔直径の1/10 であるので悠々通過しそうである。しかし、通過するとき速度に垂直な方向に
平均で7.4 μm 程度変位する。細孔の中心を流れているとしても5 μm 変位すれば細孔の壁と接触し、細孔に捕捉される。
したがって1 μm の粒子のかなりの部分が捕捉される。0.1 μm の粒子は細孔直径の1/100 の大きさであるので
さらに問題なく通過しそうであるが、実は平均変位が36.7μmもあるのでほとんどが捕捉されてしまう。

インフルエンザや新型コロナウイルスの大きさは0.02-0.2μm程度。これが空気中
に浮遊していると当然ブラウン運動をする。ウイルスの粒径を0.02 μm とすると1 秒 に対する変位は140 μm、
つまり0.14 mm となる。細菌の大きさは0.5-10μm程度であるので、空気中に浮遊する細菌に比べると
ウイルスははるかに捕捉しやすいことがわかる。