イベルメクチンの直接的な免疫調整効果
イベルメクチンを生体内で投与しても、投与した動物の脾臓から分離した様々なエフェクターおよび制御性CD4(図S2A)またはCD8(図S2B)T細胞亜集団の頻度に有意な変化は見られなかった。しかし、対照マウスと4T1腫瘍保有マウスから分離した脾臓細胞を機能的に調べたところ、有意な免疫調整効果が認められた。担がれた腫瘍マウスは接種後1ヶ月で脾臓が肥大し、CD11b+ミエロイド細胞の集団が拡大した(図2A)。イベルメクチンを生体外で投与すると、この拡大したCD11b+ミエロイド集団が優先的に枯渇し、ミエロイド細胞とT細胞のコンパートメントのバランスが正常化した(図2A)。骨髄系細胞とリンパ系細胞の集団は、イベルメクチンの投与量の増加に対して異なる感受性を示した(図2B、S2C)。対数細胞数を細胞の種類で調整した線形混合効果モデルでは、CD11b+骨髄系細胞がイベルメクチンに最も感受性が高く、48時間後に4μM、24時間後に8μM、4時間後に16μMというわずかな量で有意な減少を示し、この免疫抑制集団を迅速かつ選択的に標的としていることが明らかになった(各結果、p<0.0001)。