平成13年10月、米国において炭疽菌を混入した郵便物によるテロ事件が発生し、死亡者を含む健康被害を生じた。世界保健機関(WHO)では、生物テロに使用される可能性が高い病原体として29の病原体を挙げているが、なかでも、天然痘は、特に危険性が高く、優先して対策を立てる必要があるものの一つとされている。
 我が国では、1976年に天然痘のワクチン接種が廃止されていることから、天然痘に対する免疫力を全く持たない者は若年者を中心に約3750万人にものぼる。天然痘は根本的な治療法が存在せず、免疫を有しない者が感染し発症した場合の死亡率は30%にも達すると言われており、また、ヒトからヒトへ飛沫感染することから、適切なまん延防止のための措置がとられない場合には、二次感染による被害拡大も懸念されている。

https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/j-terr/2004/0514-1/00.html