パスツールは労働者と細菌を同一視し、
全ての病気は細菌が起こしているのであるから、
細菌とは撲滅すべきものであり、
細菌を絶滅させれば人類は病気から解放されると
本気で信じていたらしく、
彼が作り上げた細菌学の基本的な考え方も
こうした政治思想が組み込まれていたわけです。

そしてそれ以降、彼の弟子たちを通じて、
「細菌=病原菌=人間の敵」という認識が
広まっていったんですが、
結局のところが弟子たちは、
パスツールが作り上げた理論体系を
純粋に科学的なものと信じてしまい、
そこにパスツール自身の政治思想や個人心情という
バイアスのもとに組み立てられていたことを見抜けず、
しかもこれが、西洋医学における
基本的な考え方になっていきました。

また、1988年になってようやく、
それまで封印されていた
パスツール自身の研究ノートが公開され、
発酵の研究では、師アントワーヌ・ベシャンの研究を
盗用してあたかも自分が発見したかのように
偽っていたことを始め、剽窃、虚言、詐欺の数々を
重ねていたことがわかり驚くばかりです。