津波は本当に素晴らしい天災だと思う。馬鹿な奴は逃げずに死んで賢い奴は生き残る。俺達は生き残った賢い奴から学べば良いのだ」

「……お前、本当に最低だよな」

「そうか? 俺は常に前向きに生きているぞ?」

グレンが呆れたようにため息を吐きながら、窓枠に腰掛ける。

すると──
「あーっ! こんな所にいましたわね!」

屋上の入り口の方で聞き覚えのある声が上がる。
そこにはルミアとシスティーナの姿があった。
二人はゼイエル・ジエンザークの呼び出しを受けて学院長室に向かっていたのだが……途中で二人が抜け出したことに気づき、後を追ってきたらしい。

「まったくもう……勝手にいなくなったらダメじゃないですか。心配するでしょう?」

「ごめんなさい、先生。ちょっと風に当たりたくて……」

「まぁ、いいじゃん。見つかったんだしよ」

そんな三人の様子を見て、リィエルがぼそりと呟く。

「わたしも外に出たい……お腹すいた……」

「むぅ……仕方ないですわねぇ……」

セシリアがリィエルの首根っこを捕まえる。

「さぁ、戻りますわよ? リィエルちゃん」

「やだ……もっとここいる……」