夜回り先生「23年引きこもっている40歳の人から相談が来た」

「私が関わった一人の若者、若者と言っても、すでに四〇歳だ。
彼は高校時代にゲームにはまり、昼夜逆転の生活。
徹夜でゲームをすることから高校には通えなくなり高校は中退した。
その後もゲーム漬けの日々を過ごした。
そんな生活態度を注意すると暴れるので、親はそのままにした。
そして、二三年の月日が流れた。

彼が家から出るのは、ゲームのソフトを買いに行くときだけ。
それもネットで買えるようになると、外出は途絶えた。
あるとき、どうしてもコンビニに行かなくてはならなくなった。
そのコンビニには、中学時代の友人が妻と子供を連れて買い物に来ていた。
その姿を見て、彼はショックを受けた
失った時間の長さと重さに圧倒されたのだ。

彼はすぐにネットで情報を集め、私のところに相談してきた。
会ってみると、見た目は年相応、四〇歳のおじさんである。
でも、心はまだ高校生のままで成長が止まってしまっていた。」
(水谷修 壊されゆく子どもたち より)