>>74これまで、教団関連団体のイベントへの出席について追及され、苦しい釈明を続ける山際大志郎経済再生担当大臣(53)。その山際氏と統一教会を結びつける“秘書”の存在とは。さらに取材を進めると、選挙区に居住実態がないという証言も飛び出し――。







 五穀豊穣や商売繁盛を願い、江戸時代に栄えた大山詣りでは、東京・赤坂と神奈川県の大山を結んだ大山街道を多くの人が往来した。現在は国道246号として知られるその街道を行き、東京から多摩川を渡ると、かつて二子宿と呼ばれたエリアに出る。

 神奈川県川崎市高津区となっているその地に、築29年の古びた3階建てのマンションが建つ。建物の片隅には「やまぎわ大志郎」と大書されたポスターが乱雑に置かれ、安倍晋三元総理が殺害される直前まで、不気味な複数の男女がそのマンションに出入りしていた。近隣住民も不審がる奇怪な人々。政治家の事務所でうごめく彼らこそ、ほかならぬ統一教会の信者だった――。

「報道を見る限り私が出席したと考えるのが自然だ」

 まるで人ごとのような物言い。8月25日の会見で、統一教会関連のイベントに出席したのではないかという記者の質問に、強張った表情を見せたのは、山際大志郎経済再生担当大臣(53)。本誌(「週刊新潮」)が詳らかにした萩生田光一・自民党政調会長を始め政権与党幹部と統一教会の関係が次々と明らかになる中、いま、教会との関係について最も注視されているのが山際大臣その人である。

“勝つためにはなんでも使う”
 一般にはなじみが薄いだろう山際大臣は“元獣医師”という異色の政治家だ。

 1987年、神奈川県立湘南高校を卒業し、山口大学の獣医学科に進学。さらに、東京大学大学院に進み、99年に獣医学の博士号を取得している。そして、2000年に川崎市内でペットクリニックを開いた後、一念発起して02年に出馬。初めての選挙は涙を飲むも、翌年の総選挙で神奈川18区から初当選する。

 地元政界関係者によれば、

「山際さんは上昇志向が一際強く、総理を目指しています。しかし、民主党へ政権交代した09年の選挙で落選すると、後援会幹部が辞任するなど地元組織が空中分解してしまった。いまは大志会という後援会があるのですが、その役員はお飾りのようなもの。要は自前の後援会を作れていないのです。そこで“勝つために使えるものはなんでも使う”山際さんは、選挙を手伝ってくれる統一教会と手を組んだといわれています」

“一発屋大臣になりたくない”

 そのかいあってか、昨年の岸田政権発足時に経済再生担当大臣として念願の初入閣を果たす。当初、今回の内閣改造にあたっては所属する麻生派の麻生太郎副総裁が派内の待機組を処遇するため“山際を外せ”と岸田文雄総理に進言し、交代することが既定路線だった。

「ところが、神奈川の親分格である甘利明さんが岸田さんに直談判し、異例の再任となりました。山際さんも“一発屋大臣になりたくない”と漏らしていた。自身と統一教会について、改造前には明らかにせず、いわば“シラを切って”閣内に残ったのです」(同)

ズブズブの関係

 再任後には早速、教団との関係が指摘される。13年に山際大臣の資金管理団体が統一教会の友好団体に会費を支出したことや、18年に関連団体のイベントに出席したことを自身が報道陣に認めた後も、10年、韓国で行われた天宙平和連合(UPF)主催の「国際指導者会議」に、16年にはネパールでの同会議への出席などが立て続けに報じられている。







 統一教会問題に詳しいジャーナリストの鈴木エイト氏が言う。
「16年のネパールはUPFが各大陸で大規模な大会を開くにあたり、キックオフとなる大会でした。これに日本代表として招待されたのが山際大臣と山本朋広衆院議員で、二人とも統一教会とはズブズブの関係といわれています」