すっ…


月の都が嫌った穢れとは、生きる事と死ぬ事。
特に生きる事が死を招く世界が穢れた世界なのだと。
生きるために競争しなければならない地上を穢れた土地、穢土と呼び、月の都を穢れの浄化された土地、浄土と呼ぶ者もいる。
生も死もない世界が限りなく美しい。

だが何もない世界が理想というのも違う。
生きるために他人から搾取したりせず、自分たちが生み出した物だけで全ての者の生活が賄える世界が理想なのだと言う。
地上は生きることが最善であるが故に、死の匂いが強くなるのだと言う。その死の匂いが生き物に寿命をもたらす。
だから地上の生き物には全て寿命があるのだと言う。