凡人の身になった俺は、公子殿と遠出してフォンテーヌへと赴いた。
璃月に導入されていない技術は眼を見張るものがある。遊戯場の筐体もその一つだ。
ドドコという毛達磨が詰まった筐体は、正面側にある挿入孔にモラを入れると雷元素が発生して起動する。
また、挿入孔の横に配置された複数のボタンの突起の凹凸の状態に従い、箱の内側の機械式の腕が前後左右、上下に動く。
内側の底には穴があり、アームで掴んだ景品を落とすことで景品を手に入れる仕組みになっていた。
中々興味深いので試したところ、 機械の腕はあまりにも力が弱く、景品を一度は掴めど持ち上げられないまま上へと戻ってしまう。
「俺に貸してみてよ」公子殿が笑い、操作したものの、同様の状態となった。
無力なアームにより、100モラ、1000モラ、3000モラが飲まれていく。
「ふむ。岩山破竹!」
下から岩柱で突き上げて筐体を倒した。轟音と共に警報音が鳴り響き、店員が現れる。速やかに襟首を掴んだ。
「何のつもりだ?不愉快だ」
「えっ!」
「何度ドドコを掴んでもアームが落とすのはどういう事だ。この緩さは尋常ではない。俺が毎晩犯し続けているこの公子殿の肛門以上だ。公子殿の尻の穴がどれだけ締まりがないか分かるか?疲れ果てた妓女の膣とも比べ物にならない。肥え太った豚に劣る柔軟性の無さ、束ねただけの繊維に挟まれているような心地だ。お前はただの繊維に挟まれて射精する事が出来るのか。出来るのならば、今ここで射精して見せろ。このアームで物を取るのは、それほどの苦難だぞ」
無理だと呻く店員の襟首を掴んだまま前後左右に動くアームのように揺さぶる。
「支払いに値しないものでモラを取るとは、悪逆無道此処に有り。岩喰いの刑だ!」
岩喰いに屈した店員は、こちらが入れたモラを全額返した。
代金は戻ってきたものの、公子殿はどういうわけかまだ怒っていたので、晩に犯すことが出来なかった。時には公子殿もよく分からないことで怒るものだな。ははっ。