いじわるスペちゃん

むかしむかし、あるところにスペちゃんというウマ娘がいました。
サポートーカードのスペちゃんは全身全霊という、それはそれは強力なスキルを持っていました。
トレーナーさんたちは全身全霊をほしがり、スペちゃんを編成にいれました。

「全身全霊をくれよ」
「あげません!」

しかし、いじわるなスペちゃんは全身全霊をぜんぜんくれませんでした。
そのせいでたくさんのウマ娘が育成しっぱいして移籍させられ、トレーナーさんたちはそのたびにかなしいきもちになりました。
スペちゃんは能力値が300程度あれば充分な、根性が得意なサポートカードでした。
しかも、トレーニング効果アップを得るのが45レベルからであり、スペちゃんを使うには自前でそこまで凸するかフレンド枠を犠牲にするか低い凸段階で妥協しなければなりませんでした。
それでも、トレーナーさんたちは全身全霊のためにスペちゃんを編成にいれました。しかし、スペちゃんは全身全霊をくれなかったのです。

あるひ、全身全霊をもらえなくてくやしがるトレーナーさんを、チケゾーちゃんというウマ娘がみていました。

「うわあああああ!! かわいそうだああああああ!!」

チケゾーちゃんはそんなトレーナーさんに、ひとつのスキルをくれました。

「全身全霊なら、あたしがあげるよおおおおおお!!!」

それはなんと、スペちゃんがあれほどくれなかった全身全霊でした!
しかも、このチケゾーちゃんは根性のカードだったスペちゃんとは違いパワー得意です! 配布性能であり数値自体はスペちゃんと比べてある程度落ちはしますが、これは非常に大きな違いでした!
トレーナーさんたちはおおよろこびです!
しかもチケゾーちゃんが主役となるメインストーリー第3章「夢を掴む特急券」が非常に熱い展開だったので、みんなはチケゾーちゃんのことがとってもすきになりました。
みんながチケゾーちゃんにかんしゃのことばをおくっています。

いっぽう、だれも全身全霊をほしがらなくなって、スペちゃんはふしぎがっていました。

「私、全身全霊持ってますよ?」
「いりません!」

スペちゃんはすぐに、チケゾーちゃんが全身全霊をあげていることをしりました。
しかし、いまさら全身全霊をあげることもできません。
もうだれも、スペちゃんをつかうことはないのでした。

おしまい