「なに、雪。二人で話したいことって」
「彼氏ができたかもしれない」
「か、彼氏!? 彼氏……そっか。おめでとう、でいいのかな? おめでとう、雪」
「ありがとう」
「それを報告するために声かけてくれたの?」
「うん。えななんが、Kには早く言えってうるさくて。それと、Kにはお世話になってるから」
「そうなんだ。……雪、その人のこと好き?」
「わからない」
「え、どうして? というか、一回スルーしたけど、かもしれないってどういうこと?」
「ちょっと複雑で」
「よく知らないわたしが言うのもおかしいけど……騙されてない? 相手の都合のいいようにされてない?」
「悪い人ではないよ」
「そうなの?」
「……悪いようにはされてない、と思う」
「できれば信じたいけど……どこの誰?」
「えななんの弟」
「えっ? それって、えななんの管轄だよね」
「管轄とかあるんだ」
「なんでそんな勝手なこと……」
「もしかして、私ってKの管轄なの?」
「そうだよ」
「そうだったんだ」
「何かされそうになったらわたしにすぐチャットで教えて」
「わかった」


[えななんの弟がゴム忘れたからゴムなしでいいかって言ってる]
[K、起きてる?]
[もう入ってるよ]
[寝てゆ?、]
[文字うちにくい]
[中にたしていいか、だって]
[出された]
  [ごめん最悪のタイミングで寝てた]
  [電話する]


「彰人くん、私の友達が彰人くんと話したいって」