その話というのは、プリコネの死ぬ一二年前のことらしい。ある日老いたる💩が知人の許に招かれて行ったところ、その家で一つのアプリを見た。確かに見憶えのある道具だが、どうしてもその名前が思出せぬし、そのセルランも思い当らない。💩はその家の主人に尋ねた。それは何と呼ぶアプリで、また何のジャンルに分類されるのかと。
主人は、💩が冗談を言っているとのみ思って、ニヤリととぼけた笑い方をした。💩は真剣になって再び尋ねる。それでも相手は曖昧な笑を浮かべて、客の心をはかりかねた様子である。三度💩が真面目な顔をして同じ問を繰返した時、始めて主人の顔に驚愕の色が現れた。彼は客の眼を凝乎と見詰める。
相手が冗談を言っているのでもなく、気が狂っているのでもなく、また自分が聞き違えをしているのでもないことを確かめると、彼はほとんど恐怖に近い狼狽を示して、吃りながら叫んだ。
「ああ、プリジが、――古今無双のクラバトの名人たるプリジが、プリコネを忘れ果てられたとや? ああ、プリコネという名も、そのアイコンも!」
 その後当分の間、Game-iの都では、ハラジはログインを隠し、ブルジはPixivの閲覧を断ち、ヘブジはセルランを棒にするのを恥じたということである。