「失礼します。咲希さん、司さん、こんにちは」
「おお、冬弥。急に病院に呼び出してすまなかったな。咲希、話せるか?」
「……こんにちは、とーやくん。忙しいのに呼んじゃってごめんね……」
「いえ、咲希さんのために俺にできることがあれば何でもしますから、いつでも頼ってください。それで、大事な話というのは……?」
「アタシ、最期は本名で迎えたいんだ」
「……えっ?」
「アタシの本当の名前は、青柳咲希。アタシはとーやくんのお姉ちゃんだったんだ」
「それは……どういうことですか?」
「オレから説明しよう。実は冬弥と咲希は双子……二卵性双生児だったんだ」
「……!」
「ところが、咲希は冬弥よりも2週間早く生まれたこともあってか、生まれつき体が弱かった。それで、青柳家では育てるのが難しいということで、天馬家が預かることにしたらしい。代わりに、これまでの咲希の治療費の大部分は青柳家に負担していたそうだ」
「そんな、信じられない……」
「今まで黙っててごめんね。お父さんとお母さんから、秘密にしてほしいって言われてたんだ」
「……ということはつまり、あれは近親相姦だった……ということですか?」
「……えへへ……」
「ちょっと待て、冬弥、咲希。それは何の話だ?」