「いっちゃん、新曲のメロディー完成したよ」
「うん、ありがとう。じゃあ作詞作業に入るね」
「あ…えっと、いっちゃん…」
「ん?どうしたの?」
「その…最近駅前に新しいケーキ屋さんができてね、一緒に行きたいなーって…」
「あー、私は作業したいし穂波か志歩と行けば?」
「あ、そうだよね、忙しいよね…」
「うん、忙しい。集中したいしちょっと静かにしてて」
「あ、うん…」
「...こんなドマイナー深夜アニメの主題歌なんてやったところでなんの旨味もないし…ホント面倒臭い…」
「…」

ガチャ
「…ただいま」
「あ、おかえりしほちゃん!バイトお疲れ様!」
「酔っ払った客が体ベタベタ触ってきてクソキモかった。あの豚次あったら絶対殺す」
「あ、た、大変だったんだね…ところでしほちゃん、実は駅前にーー」
「穂波はまだ帰ってないの?」
「今日も彼氏の家泊まるって、さっきLINEで言ってた」
「またか…穂波いないと飯作んなきゃいけないしだるいんだよな…」
「…」
「子供作ってバンドの活動とかに支障出ても困るし、しばらく会わないように言っとこうかな」
「私、作業してるから静かにして欲しい」
「…はー、はいはい悪かったですね。あーあ、あんたらがちゃんと売れる曲作ってくれれば、こはねとかみのりたちみたいに遊んで暮らせるのに」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」