「東雲くーん! おまたせ!」
「うおっ! ……おい、びびらせんな」
「ごめんね! 今日のサモちゃん、何だか張り切っちゃって」
「まあ、これも苦手克服のためなら仕方ねえか……。なぁ、花里。この後、用事でもあんのか?」
「えっ? この後? え、えっと……(もも、もしかして、デートのお誘い……とか!?)」
「いや、犬の散歩にしては洒落てるっつーか……いつもそんなんじゃねえだろ」
「(違った……!)なんと言いますか、その……東雲くんに会うってわかってたら、いつもの格好は変かなぁと思いまして……」
「あの服のセンスは……一旦、置いとくとして、別に気を遣うような相手じゃねえんだし、あんま気にすんなよ」
「ううっ(やっぱり変だって思われてた!?)」
「それより、行くんだろ? 散歩」
「はい! ……あ、待って、東雲くん。リードが絡まって……わわっ、サモちゃん! 今は動いちゃダメっ!」
「おい、花里、大丈夫——」
「……いたた……わたしってよく転ぶなぁ……」
「手貸すぞ。つーか……早く立て」
「ありがとう……(あ……そういえば、わたし、今スカート穿いて……)」
「……いいから、ちゃんと隠せ……」
「変なもの見せちゃってごめんね!?」
「お前が謝るのかよ」