★橋下徹「英国民のEU『離脱』選択はポピュリズムなのか? 僕が現地で感じたこと」

今回のイギリスの国民投票を日本人が論じるには、日本のことに置き換えて考えると分かりやすい。
国民投票を否定して議会制民主主義が重要だというなら、永田町の国会議員の判断をそんなに信用できるのか。
国の重大な方針をすべて国会議員の判断に委ねるのか。日本では、憲法改正においては国民投票を求めている。

離脱という選択は間違っているというなら、かつて旧民主党の鳩山由紀夫さんが熱心に提唱していた
日中韓が一つにまとまる「東アジア共同体」構想を考えるとよい。日中韓が外交的に良好な関係を
築くことは当然としても、共同体まで目指すのか。中国人がパスポート審査なしで、どんどん日本に入ってきて、
自分たちの街に大量の中国人が住んでいる状況。彼らは日本人と異なるマナーで生活し、そして安い賃金で
働いている。こんな社会を想像してみてよ。

東アジア共同体による単一市場化によって企業が活動しやすくなったとしても、僕はそんな日本は嫌だね。
企業活動だけが重要なんじゃない。現実の暮らしがもっと重要だ。

もし僕より若い世代が、日中韓・東アジア共同体構想を進めたいというなら、進めてもらって構わない。
若い世代の意思を尊重したい。そしてそのような構想が進む中で生まれてくるさらに若い人たちは、
東アジア共同体に違和感を覚えず賛同するだろう。でも、僕は違う。「俺の目が黒いうちは、
日本を感じるところは残しておいてね」と言うだろうね。僕もあと30年くらいの人生。その間にどんどん
日本がなくなってしまうことには危機感を覚えるだろうね。だから若い世代の意思を尊重しつつも、
東アジア共同体構想がある一線を超えれば、僕は離脱派になる。

そのときに、離脱という判断はポピュリズムだ!! 感情的だ!! と言われたら頭に来るね。
さらに企業活動がおかしくなって経済が停滞する!! と言われても、経済だけを考えるな、バカ、と言い返すだろうね。
なぜ離脱なのか、冷静に論理的にいくらでも主張できる。東アジア共同体構想のおかしいところをいくらでも
指摘できるし、東アジア共同体残留派を論破できる自信がある。

にもかかわらず、東アジア共同体離脱の主張は、感情的で非合理的なのか? 
論点は何で、双方の主張の合理性はどうなのか。ここを徹底的に吟味しなければならないのに、
離脱派の主張はポピュリズムだ!! で片づけられたらたまったもんじゃないよ。

http://president.jp/articles/-/18400

最近、日本のメディアは、離脱派が国民投票前に唱えていた主張が嘘だったと報道している。
イギリスの選挙ではもちろん、日本の選挙でもそんなことはよくあること。キャメロン首相は移民の数を10万人
以下に抑えると公約して総選挙を戦った。ところが現実は移民の数は30万人。現在、イギリスに移民を
制限する手立てはない。にもかかわらず移民を抑制すると言い放ったのは大嘘つきで、とんでもない
公約違反だ。離脱派の公約違反を指摘するなら、残留派の公約違反も指摘しなければならない。
残留派はイギリス政府がはじいた経済予測を持ち出し、EUから離脱すればこれだけイギリスにマイナスになる!! 
と主張した。日本の自称インテリも同じことを言っている。

しかし官僚や政府の予測が外れるなんて日常茶飯事。そう言えば、つい最近では、消費税を8%に上げても
日本の経済には何の影響もないと言い続けていた財務省の予測が、まったく外れたことは記憶に新しい。

イギリスでも同じ。イギリスはEUに加盟する際、統一通貨のユーロに入らず独自通貨のポンドを維持する、
そして人の移動の自由を保障するシェンゲン協定にも入らないという決断をした。
この際、現在残留を主張している人たちは、ユーロに入らなければ、シェンゲン協定に入らなければ
イギリスは孤立する、経済は衰退する!! と脅しに脅しをかけた。では現実はどうか? 
EUの中でイギリスはドイツと共に経済は好調だ。今回、残留派の主張にも多くの嘘があるだろう。
ここは公平に検証すべきだ。(以下リンク先で読んでください)

http://president.jp/articles/-/18400?page=2