今朝の日経(´・ω・`)

今から思えば少し驚きだが、総会で株主からポケモンGOの質問はなく、経営陣も言及しなかった。これほどの大ブームを誰も予想できなかったからだ。
君島も「うちがやっているわけじゃない」と控えめな発言を繰り返している。

 ポケモンGOを開発したのは米グーグルから独立したベンチャーの米ナイアンティックと、「ポケットモンスター」の版権などを管理する任天堂の関連会社「ポケモン」(東京・港)だ。
配信はナイアンティックが手掛ける。任天堂はポケモンへの32%出資分に応じ利益を得る。

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岩田は14年6月に胆管腫瘍の手術を受けた後も「僕にはやり残したことがあるんだ」と話し、現場に嵐のように指示を飛ばした。
最後の表舞台は15年6月末の株主総会。2週間後の7月11日に急逝する。
最後まで病室に持ち込んだ愛用のパソコンで仕事し、ポケモン社長で親友の石原恒和(58)とポケモンGOについても意見を交わした。

 岩田には揺るがない信念があった。任天堂ファンの多くは子供たち。
射幸心をあおりアイテム獲得のために有料のくじ引きを繰り返すスマホゲームに批判的だった。「ゲーム人口を増やすことにはならない」からだ。

 岩田をよく知るゲーム関連会社の幹部はこう言う。
「ポケモンGOは子供たちがあまりお金を使わないで楽しめる。それは岩田さんが目指したものだったはず」。
それが世界で支持される大きな理由の一つだろう。

 だが、任天堂にとっては「もろ刃の剣」だ。ポケモンGOに顧客が流れれば、収益の多くを稼ぎ出す携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」事業が侵食されかねない。

 「『サン・ムーン』が売れてくれれば……」。任天堂首脳は険しい表情で語る。
サン・ムーンは11月18日に世界で発売する3DS向けポケモンシリーズの最新ソフト。クリスマス商戦の目玉で、今期業績を左右する。同シリーズは累計販売が2億本を超える「ドル箱」だ。失敗は許されない。

 世界では今や、ポケモンと言えば「GO」だ。屋外を歩き回りながら手軽に遊べる未体験の楽しさがあり、スマホゲーム初体験のユーザーを急増させた。
岩田が戦略の柱に据えた「ゲーム人口の拡大」に大きく貢献した。「定番ソフト」として従来の延長線上のサン・ムーンで顧客の心をつかめるかは不透明だ。

 岩田の口癖は「(ゲーム産業は)ヒット一本で流れが変わる」。
岩田が鬼籍に入った今、ポケモンGOが1本のヒットかは分からないが、世界のゲームビジネスの流れを変えている。
任天堂にとってはパンドラの箱が開いたのかもしれない。