サマーレッスン Review
http://jp.ign.com/summer-lesson/8344/review/
価格に不相応な短いプレイ時間が少なくとも丁寧に作り込まれているのかと言うと、そうではない。
7日間にわたって、宮本ひかりの部屋には何の変化もない。くまさんのぬいぐるみはベッドの上に毎日まったく同じ位置に置かれている。
ゴミ箱にはいつも同じものが入っている。時計は常に12時15分を指している。壁にかかった鞄と帽子も使った形跡がない。
布団が畳まれていない日が一日あってもいいと思うけどそれもない。プレイすればするほど、僕は気づいてしまった。この部屋が偽りの空間で、3Dの静止画でしかないことに。
宮本ひかりとの時間が充実していれば、それくらいを許せたかもしれないが、部屋の持ち主も残念ながら本物の女の子ではない。
サマーレッスンは青春期の男の子の抑えきれない性欲のためにあり、知的好奇心を持つ大人を満足させる要素はまるでない。
それでもときどき、宮本ひかりが本物の人間に見えるときがあった。彼女は休憩時間に一度部屋を出ては、しばらくしてからチョコレートを手に戻ってきた。
3Dサウンドで聞こえてくるドアを閉める音や、台所でお母さんとの会話の距離が極めてリアルに僕の耳に届いた。
「今度、先生をどこかに連れてってあげるから」と女子高生が軽々とおっさんの家庭教師に言うとは到底思えない発言をし、「今日はこんなところかな」と、それだけで一日の終わりを宣言してしまう。
信憑性がないだけでなく、そもそもまともに会話する場面がない。

僕がもう一度宮本ひかりと7日間を過ごすことにしたのは、彼女に会いたかったからではない。レビューを書く必要がなければ、僕はさっさと家庭教師をやめて、とっくに転職していたはずだ。
だが、もう一度プレイしても、価値のあるリプレイ性を発見することはできなかった。
例えば、宮本ひかりが一生懸命に何かを書いている。ノートを見てみると縦書きだが、彼女はペンを左右に動かしている。
オープンワールドならそれくらいは仕方ないが、基本的に一つの空間で展開される30分程度の体験にそのような矛盾があってはいけず、制作者の本気さえ疑ってしまう。

コスチュームを一度選択するとクリアまで変更できない。違うコスチュームを着せるくらいしかやることがないのに、それさえも自由にできない。
そもそも、(制服ならともかく)一人の人間が毎日同じ服を着るのは不自然ではないか。彼女がランダムに衣装を変えるようになっていれば、よりリアルに感じられたはずだ。
2周目のプレイで僕は黒Tシャツに半ズボンという普段着を選んだが、彼女は学校の鞄を手に部屋に入ってきた。まさか、その恰好で学校へ行ったとは思えない。本当にどこまでもお粗末で、ため息が漏れてしまう。

宮本ひかりは青春期の男の子が見れば興奮するのかもしれないが、その薄っぺらさは大人ならすぐに見抜けるだろう。
悪いけど、彼女は人間としても女としても、そして生徒としても、優等生だとはお世辞にも言えない。はっきり言って赤点だ。
低い点数をつけたのは30分でクリアできてしまうことも起因しているとはいえ、たとえ無料のDLCが出ても評価は大して変わらないだろう。