昔からこういう体質。

■黒川 未成熟と言えばメディアもそうだよね。
僕はエンターブレインの浜村さんと、面と向かってケンカした数少ない人間だと思うよ。

■――なぜケンカしたんですか?
■黒川 サターン版『バーチャ』発売のときに、エンターブレインと集英社から攻略本を
作らせてほしいって連絡があったんですよ。

それはもちろん両方にOKしたんだけど、後日あらためて集英社から
「『バーチャ』のパッケージのなかに解説本のチラシを入れさせてくれ」っていう連絡があったから、
それも承諾してチラシを有償で同梱したんだよね。

そしたら、発売日にエンターブレインの浜村さんから「あれはどういうことですか?」って
電話が掛かってきてさ。

「なんでウチのチラシを入れずに、集英社のチラシだけを入れるのか?」
ってことだったんだけどね。

■――ゲーム業界には、とにかくエンターブレインを優遇する慣習がありますね。
■黒川 そんな慣習(最新のニュースはファミ通に出すという暗黙のおきてのようなものがった)は
おかしいじゃん。

僕は「集英社さんからオファーがあったから入れただけですよ」って言ったんだけど、

あちらは「そりゃ間違ってる」っていうんですよ。
僕も納得がいかないから「そちらが間違ってます」って言ったんだけどね。
で、いろいろやり取りした挙げ句、浜村さんが「一度直接会って話をしたい」って言って
会社まで来ちゃった。あのときは塩崎さんと2人で来たのかな。

(実際には映画「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」のMローク扮する刑事と
若きチャイニーズマフィアのボスに扮するジョン・ローンの会話のように
「そちらの時計が狂っているんだから合わせ直すのは当たり前だ」という会話がなされた。)

■――納得してもらえましたか?
■黒川 (実際には納得はしてもらえなかったと思う)

でもさ、集英社がチラシを入れたいって連絡してきて、実費も負担するって言ってるんだから、
そこで僕たちがエンターブレインに「集英社がやるから、そちらもどうですか?」なんて
聞いてあげる筋合いはないじゃない。

あっちは「ほかのメーカーは、やっている…」みたいな話をしてきて、
僕が間違ってるみたいに言ってたけどね。