いつの世もゲーム業界ではシェア争いが続いている。
いつの世も過度の争いによって残されるのは、荒廃した市場だけだ。
そして刻まれた傷は、時の流れとともに消えてゆく。
その傷を目撃し記憶しているのは、中古屋に並ぶソフトの群れかもしれない。
そのソフトすら、ハードが生産中止になればゴミとなる運命にある。
これは、そんなゲーム業界でいつの日か語られた、あるゲーム機たちの今はもう忘れかけている戦いの記録である。

その頃日本という小さな島国の市場の中は、大きく二つに分かれて戦っていた。
任天堂皇国とソニー人民共和国である。
さらに任天堂とクロスプレイで同盟を結んだマイクロソフト合衆国があり両方の戦いの成り行きを見守っていた。
戦争は、既に20年続いていた。