ソニー大賀の出井大抜擢物語

日本企業のコーポレートガバナンスを考える
http://web.archive.org/web/20080309220238/http://keio-takagi.jp/lab/library/cg/cg2.htm

「論理に従えば、彼は退けられることになったでしょう。たしかに経験ではだめです。
 オーディオ経営者としてもたいして成功していません。
 ホーム・コンピュータ事業に参入しようとして、ものの見事に失敗しています。

「ソニーの社員の100人のうち、99人が私の選択に反対だった。
 彼は駄目だ、まさか本気じゃないだろうね、とみんな言った。
 とうてい信頼できない、とみんなが感じたんだ」と大賀は言っている。

 誰もが驚いた。なかには失望し、怒る者もいた。大賀は優しく、しかも非常に巧妙だった。
 だが異議は受けつけなかったし、議論すら許さなかった。

 ソニー・ピクチャーズの今日の成功は3、4年前にゴーサインを出したプロジェクトのおかげです。
 それに、彼を選ぶ1年前にプレイステーションを認可しています。
 彼が仕事を引き継いでから始めた事業は一つとして金を稼いでいない。
 今日、われわれの収益がどこから来るか見てみたまえ、プレイステーション、ミニディスク、
 トリニトロン。VAIOのラップトップですらそうですが、すべての事業は、私の時代に始めたものです。
 彼の最大の問題は、金儲けに関して私のような鋭い感覚がないことです。
 収益をあげるようにうまく調律していかなければなりません。