ニュータイプは「Wi-Fiにつながったタブレット」である
―― ニュータイプを人類の希望の種として描くことが、物語を飛び越えて現実の私たちに刺さるものになると思われたのですね。
ニュータイプと言えば、アムロたちがモビルスーツで戦うときに、敵の攻撃を察知する能力というイメージがありますが……。

福井 『UC』『NT』では、ニュータイプは我々の世界から見えない1つ上の次元、高次元に行った人として描きました。
高次元はララァが言っていた通り、“時が見える”世界なんです。ニュータイプになっている瞬間というのは、過去も未来もなく、宇宙のはじまりから終わりまで頭に入っている状態。

 だからアムロのようにビームが来ても簡単に避けられるんです。
『UC』『NT』では、アムロたちの100歩先に完全覚醒する段階があり、完全覚醒すると腕の一降りであらゆる兵器をバラバラにできるような、ほとんど神様のような力を持ってしまう。
それは人の手に余る力でもあり、人類がその力を奪い合うことの危険性も描いています。

―― ニュータイプにも段階があり、「完全覚醒」すると、普通の人には知覚できないような域に達するのですね。

福井 完全覚醒したニュータイプというのは、高次元にアクセスした状態です。例えるなら、人はWi-Fiにつながっていない(SIMなしの)タブレットのようなもの。
タブレットはWi-Fiにつながることでインターネットにアクセスし、世界中の知識を運用することができますよね。

 『UC』『NT』での描き方としては、高次元には電流のような太いエネルギーの流れがあって、全ての生命はそことつながっている。
じつは、人は誰もがエネルギーの流れとつながってはいるのだけれども、普通の人は「つながっている自分」を認識できない。ところが、宇宙に出ると五感が研ぎ澄まされて感覚が広がる。
研ぎ澄まされた五感で自分が「つながっている」ことを発見することでニュータイプとして覚醒する、ということです。



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