ゲーム見本市「E3」に見えたソニーと任天堂の「対照的な戦略」
https://news.livedoor.com/lite/article_detail/16647797/

はっきりしない費用対効果
企業がE3のような巨大イヴェントへの参加をためらう理由は、いくつかある。まずはコストだ。
プレスカンファレンスはもちろん、小さなブースを出すだけでも数十万ドル(数千万円)は必要になる。大手なら数百万ドル(数億円)規模になることも珍しくない。
そしてこれだけの金額を投じても、費用対効果はあまりはっきりしない。

ソニーはE3の始まる数日前に、PlayStationの新作ゲーム「Death Stranding」の発売日を発表したが、派手なイヴェントは伴わず、どこか中途半端なものに感じられた。
ソニーの熱心さは認めるが、どうしてもE3に便乗した発表に見えてしまうのだ。

繰り返しになるが、E3に参加したからといって、ソニーがゲーマーたちの注目を一身に集めるわけではない。ただ、今回の動きによって、
ファンや業界関係者の間に「ソニーはもうE3には出ない」という空気が広まりつつあることは否めない。

任天堂はこうした事態をうまく回避する方法を考え出した。数年前から、会場にゲーム機やソフトを試せるコーナーを完備したブースだけを設置するように戦略転換しており、
たまたまイヴェントの場に居合わせたというような雰囲気をつくり出すことに成功している。

そして任天堂がいま最も力を入れているのは、「Nintendo Direct」だ。2011年に始まったこのストリーミング放送では毎年、E3に合わせた特別プログラムが組まれる。
任天堂はこれを通じて最新のゲームを披露し、E3と連動しながらも、会場の喧騒から離れた特別な空間で自社のアイデンティティをつくり上げているのだ。

ストリーミング放送という手段を使えば、E3に注目する世界のゲーマーたちに情報を直に届けることができる。
ここでは控えめかつ親密な空気をつくり出すことが可能で、任天堂にとってみればまさに一石二鳥だ。