ネタバレ感想


あのオチが非難ごうごうだけど、それまでの展開も描写も褒められたものじゃない。

20時間以上のプレイ体験を、1時間30分ほどで纏めるために、全てが早送り、それでもなんとか観客にわかるようにほとんどのセリフが説明せりふ。

幼少期の殆どは、スーファミのドラクエの画面とあのメッセージ枠に入ったセリフで、説明される。
主人公の母を助け出すのが後半の肝だけど、ただ暗転した場面に、「マーサは魔物にさらわれてしまった」なセリフだけで説明される。

パパスは感情移入する間もなく、映画開始7分前後で死ぬ。
そして泣け泣けのドラクエの杉山こういちのミュージックに、泣いてください演出。
原作を知らない人はポカーンだろうし、原作を知っている漏れもポカーン。

ドラクエの良さは、堀井のテキストなんだけど、それは全く期待しない方がイイ。すべてが説明とご都合主義で展開し、セリフ回しには堀井ではなくて恐らく監督の古臭い親父節や浪花節が入っている。

唯一ストーリーで動きを感じるのが、結婚のビアンカかフローラか選ぶ辺り。ここは全く批判を受けていないから、唯一シナリオで成功した箇所だろう。
それと、CGのような映像自体は良い。特にモンスターのグラフィックとバトルシーンは見栄えがして見応えがある。
思ったよりもイイと擁護している人はそこを褒めてるんだと思う。

漏れが思う、根幹の問題は、ここ。
ドラゴンクエストは「ユア(your)ストーリー」じゃなくて「アワー(our)ストーリー」だったのだ。
色んな人が教室や職場でドラクエについて話し合って議論して交流して形作られたドラゴンクエストと言うのがあって、それがあるから映画化するほどに人気や需要があったのに、監督がそれをまったくわかってなかった。
映画館で観たドラクエ映画のエピソードよりも、今ではこのスレッドやtwitterなどで語られるドラクエ映画談義こそが、ドラクエの持つ魅力。10がネットゲーになったようにね。
それは監督は体験してないからわかんないんだろう。子供が一人でゲームを黙々とやるのがドラゴンクエスト。だからその延長として密室で一人ぼっちで仮想空間のVR。