「FFXIV」は意図的にキャラクターを成長させないデザイン


――今回ちょっと聞いてみたいことがあったのですが、「FFXIV」は時々ネットで「やることがない」と言われることがありますよね。その理由として「FFXIV」にはエンドコンテンツにキャラクターの成長要素がないからだと思うのです。それはおそらく、成長要素があると中で遊んでいる人は楽しくても、新規の人が追いつくのが大変になってしまう。そういう意味があるのかなと。

吉田氏: 「成長要素があると、中で遊んでいる人が楽しい」というのも実は語弊があると思います。今の「FFXIV」のように、割と早くレベルがカンストし、レベリングから解放されるからこそ楽しめている人にとっては、長時間続けなければならない成長要素が入ると、逆に短時間でコツコツ楽しめなくなってしまいます。「FFXIV」を遊んでいる方にも、色々な方がいて、好みが違うということです。誰しもが、非常に遠くに設定されたゴールに向かって、ひたすらキャラクターを成長をさせ続けることに、モチベーションを見出すとは限らないので。

――意図的に入れていないということですね。

吉田氏: 「FFXI」型の、それ自体がエンドコンテンツになっているような、とめどない成長要素が欲しいという方が、「やることがない」とか、「飽きた」とかおっしゃっているのかなと。お気持ちはよくわかるのですが、今の時代にグローバルで戦うMMORPGとしては、この路線は非常に選択しにくい状況です。


 これは武器や防具に炎とか氷などの「属性」があまり意味を成さないデザインなのも同じ理由です。
例えば、属性が大きく影響するデザインの場合には、強大なボスを倒す時に、ボスの弱点属性の武器や技を持っていない人は、その武器を取得することから始めたり、技を覚えなおすところから始めなければなりません。

実はこれ、ハマると滅茶苦茶面白いです。強くなるために努力する実感も、強くなった実感も得やすいですし、達成感も大きい。
しかし、一つのボスと戦うまでに、非常に沢山の時間を使います。
しかも、次回パッチで別属性のボスが出たら、また準備からすべてやり直しになります。
どこかで気を抜くと一気に脱落する。これは緊張感と恐怖と高揚があるデザインなので、とても中毒性が高い。
プレーヤーの皆さんに、長時間のプレイを強いるから「やることがない」という状態に陥りにくいというメリットもあります。

しかし……皆さんもうそんなに時間がない。このデザインだった場合、僕の忙しさだと、さすがに僕でもプレイが続かなくなっている気がします。
時代遅れと言うつもりはありません、またこれらが好まれる時代が来たり、ビジネススキームを変えて、まだまだ可能性があるとも思っています。
しかし、「FFXIV」の置かれている状況には、どうしても合わないのです。

 だからといって、何もしないわけではなくて、例えばゾディアックウェポンだったり、アニマウェポンだったりを入れたり、
次のエクスパンションでも何か新しい、時間をかけてTime to Winになるような成長要素は入れたいと思っています。
でも、それがゲームの柱になるようなものは、「FFXIV」では、やらないと思います。
それこそ、10年後に、ほんとうに「FFXIV」が好きな人たちだけで運営していこう、みたいな形になったら、思い切ってそういうエクスパンションを出すのもありかもしれない、と思うことはありますが、今は無理ですね。

https://game.watch.impress.co.jp/docs/interview/1021088-3.html