61. ペクスエリア
2020年11月26日 15:38
>>52
一手販売権がわからないのですね。解説します。

メーカーは複数の問屋に製品を卸すことに問題はありません。しかし特定の問屋に一括して製品を卸す契約を交わすことがあります。この場合問屋は特約店、代理店と呼ばれますが、その時「一手販売権を有している問屋」とみなします。
ゲーム業界ではこの一手販売権を使った流通形態が主流です。PS向けバンダイナムコ製品はソニー流通を、マーベラスはカプコン流通を、日本の日本一ソフトウェアはセガ流通を使って小売店に卸しています。(ゲーム屋さんのブログでわざわざこういうのを書くのはちょっとむず痒いですね)

そして大事なことですが、マルチタイトルではそれぞれ別の商材としてみなされるので、一方の一手販売権を持っていても、他の機種に出るマルチタイトルをどうこう出来ることはできません。日本においてもCoDがSIE.MS両方から出たことがありますが、あれも別の商材だから問題にならないんですね。
なので任天堂がSwitch版SNKヒロインズの一手販売権を持っていても、PS4版をどうこうできる権利はありません。

そうなるとまうさんは「両方ともパッケージ出せばいいだけだろう。なぜPS4のパッケージがキャンセルになったんだ」と思うでしょう。このインタビューで明言してないのですが、海外の小売店には返品制度があることを覚えておいてください。
海外の小売店は売れ残ったゲームの返品をすることが可能です。日本では小売店に卸した時点で終わりですが、海外ではその先にも責任がつきまといます。スクウェア・エニックスが返品請求を受けて値下げで応対した(プライスプロテクション)ところ、決算にも影響するほどだったという話すらあります。https://t011.org/company/financial-results/60589.html

出荷して終わりならとにかくマルチにしてパッケージを大量に、というのも手段としてはありですが、それは日本限定の話ですね。

その上、予定もしてなかった任天堂がディストリビューターになって「Then they promised to buy a lot of units」と言ってます。これも数十年海外の流通を新規開拓して小売店にコーナーがある任天堂と、代理業者を使って(セールスレップといいます)各地の小売店に卸すだろう日本一とでは取り扱いの最低ロット数が違って当然です。なので相当量のSwitch版SNKヒロインズが市場に出回ることになります。
Switch版は任天堂が責任を持って扱うので返品はありません。しかしPS4版は日本一自身が責任を持って対応せねばなりません。

さて、PS4版SNKヒロインズのパッケージはどうしましょうか? ここで思い出してほしいんですが、そもそも最初はSNKヒロインズはPS4独占だったんですよね。つまり山下社長自ら、そこまで大量に売れるとは認識してなかったんですよ。売れると思ってたら最初からマルチにしてたはずです。返品が怖いんでPS4独占なんですよね。
Switch版が大量に市場に出るので、返品を考えるとPS4版はひとまずダウンロードで、というのはごく当たり前の判断かと思います。(現にこのあとのインタビューで日本一の判断だと明言していますね)

さて、「それでも任天堂がパッケージを独占する契約を持ちかけたんだ」と思っている頃でしょうが、それは絶対にありえません。絶対に。
なぜなら海外でもPS4版のSNKヒロインズのパッケージ版は存在するからです。

https://store.nisamerica.com/snk-heroines-tag-team-frenzy-diamond-dream-edition-ps4tm

もし任天堂と日本一が「パッケージはSwitch独占で」という契約を交わしているのなら、この特装版は発売することはできません。これが発売されていることは、そのような契約など存在しないという証拠です。

以上で終わります。長々と失礼しました。