グーグルやMSが「Rust」言語でOS開発、背景に国家による諜報活動の影


 1970年代初めにUNIXの開発にC言語が採用されて以来、OS開発はCやその後継であるC++の独壇場だった。グーグルはこれまでもAndroidの開発にJavaやKotlinを採用していたが、カーネルやデバイスドライバーなどOSの下位レイヤーの開発にはC/C++しか使ってこなかった。RustはC/C++と同様に下位レイヤーの開発に使用する。

 グーグルは数千万行にも及ぶ既存のC/C++のコードを書き換えるのは不可能としており、新規のコードの開発にのみRustを適用する方針だ。それでもOS開発の常識が数十年ぶりに変わるのだけは間違いない。

 RustはWebブラウザー「Firefox」を開発する米Mozilla Foundation(モジラ財団)が開発を主導するプログラミング言語だ。開発が始まったのは2006年で、安定版であるバージョン1がリリースされたのも2015年のことだ。まだ新しいプログラミング言語をグーグルやマイクロソフトがOS開発に採用する理由は、OSのセキュリティー強化にある。

 Rustは、プログラムに必要なメモリーの確保や解放に関連するバグが生じない「メモリー安全」が保証されたプログラミング言語である。それに対してこれまでのOS開発に使われてきたC/C++は「大規模な開発においてメモリー安全なコードを記述することがほぼ不可能」(マイクロソフトのブログ「We need a safer systems programming language」より)なのだという。

脆弱性の70%がメモリー管理バグに起因

 グーグルによればAndroidに存在した深刻なセキュリティー脆弱性の70%近くがメモリー安全に関するバグに起因するという。同様にマイクロソフトも、同社製品に存在したセキュリティー脆弱性の70%がメモリー安全に関するバグに起因すると述べている。C/C++を使う限りセキュリティー脆弱性を根絶するのは不可能と考えて、Rustを採用するに至ったというわけだ。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00692/042700054/