ドラクエ新作「12」や「3」リメーク版 対応ハード未発表なぜ?


 「ドラクエ」の本編シリーズの発表で、対応するゲーム機に特別な意味がありました。スクウェア・エニックスの前身・エニックスのときから「ドラクエは最も売れているハードで出す」と明言してきました。その結果ドラクエの最新作の登場は、対応したゲーム機の「勝利宣言」のような面があったのです。

 ドラクエは、コアなゲームファンはもちろん、「ドラクエだけは遊ぶ」というライトユーザーもいます。その特性を考えると、最も普及したゲーム機に満を持して出すのは合理的です。

 かつてゲーム機の普及のカギの一つは、人気ゲームの囲い込みでした。実際「ファイナルファンタジー7」は、対応ハードの移籍で、ゲーム業界の力関係を変えました。しかし時代は変わりました。高騰したソフトの開発費を回収するため、1人でも多くのユーザーに遊んでもらうために、複数のプラットフォームで展開することが「当たり前」になりつつあります。

 そもそも人気ゲームの囲い込みのメリットは、ハードメーカーにあっても、ソフトメーカーにはさほどありません。最初は独占供給のように見えても、ある時期に別のプラットフォームに出すこともあるように、「独占」も期間限定だったりするわけです。

 要するに、スクウェア・エニックスからすると、各ソフトの対応ゲーム機の発表を急がなくても良い……となります。対応ハード未発表でも、ネットの話題をさらえるほど「ドラクエ」にはコンテンツのパワーがあります。むしろ、後回しにしたほうが、ゲームファンも盛り上がるし、「話題作り」という意味ではむしろ良いのかもしれません。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kawamurameikou/20210530-00240391/