>>753
・大内の場合、基底層の細胞の染色体が中性子線で破壊されてしまい、細胞分裂ができなくなっていた。
新しい細胞が生み出されることなく、古くなった皮膚は剥がれ落ちていった。体を覆い、守っていた表皮が徐々になくなり、激痛が大内を襲い始めた。(54 頁)

・血液中の酸素の量を増やすために、圧力をかけて強制的に肺を広げ、酸素を送り込む医療用のマスクも付けることになった。
このマスクは顔に密着させて圧力をかけるため、つけている間は、とても苦しくなる。
このころ、看護記録に記された大内の言葉には我慢の限界を超えた叫びが多くなっていた。
「もう嫌だ」「やめてくれよ」「茨城に帰りたい」・・・・・・・・「おれはモルモットじゃない」(55 頁)

被曝治療83日間の記録 NHK取材班(岩波書店)