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珍しい電車が通過する瞬間を狙い観客席からカメラを構える愛好家たち=10月13日、福井県小浜市営球場(記者は許可を得て入場しています)

 福井県小浜市東勢の高台にある小浜市営球場の観客席が、JR小浜線の撮影スポットとして、鉄道撮影愛好家「撮り鉄」の間で有名となっている。観客席の出入り口に扉はなく、珍しい電車が通るときは大勢が詰めかける。市は公共施設への無断立ち入りを危惧。トラブルを防ぐため10月15日にも入場禁止を呼び掛ける掲示をし、チェーンで施錠する。

 観客席はJR小浜線と小浜湾を見下ろせる好立地にある。天気のいい時には、青い海と空をバックに走る電車を撮影できる好スポットとして知られるようになった。観客席に入る階段に扉はなく、代わりに「関係者以外の立ち入りを禁ず」と書かれたステッカーが貼られている。

 JR西日本金沢支社によると13日、ラッセル車としても使われるけん引車が、小浜線の東舞鶴駅から敦賀駅まで運行した。市営球場には正午前から愛好家が続々と駆けつけ、敷地内には大阪、奈良、姫路、金沢と県外ナンバー車がずらり。約25人が観客席に入り電車を撮影した。直後に通報を受けた小浜署員が到着し、無断で入らないよう呼び掛けた。

 所管する市生涯学習スポーツ課によると、これまでにも「無断で市営球場を使っている」と通報があった。愛好家の一部は次の撮影スポットに移動するため、「猛スピードで車を走らせて危ない」といった声も寄せられていたという。新型コロナウイルス禍で「県をまたぐ往来の自粛が求められているのに、県外からたくさん訪れている」という苦情もあった。担当者は「何かあってからでは遅い。モラルのない利用でもあり対策をしたい」と話した。

 愛好家の一人は福井新聞の取材に対し「施錠されていなかったから」と申し訳なさそうに話した。無断利用を好ましく思わない市民がいることについて、別の20代男性は「絶好のスポット。小浜の地域資源として活用してもらえないだろうか」と提案した。

https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1417204