山森 ファミコンの色の赤と白はどのようにして決まったんですか?

上村 この赤は、前社長が「この色や」と決めたんです。「赤ですか?」と聞いたら、「いや、普通の赤やない」と言われて。「この色や」と渡されたのが自分のマフラーやったんです。

山森 普通の赤ではなく、えんじ色に近いんですね。

上村 そのマフラーの色が指定色になって、あとはデザイナーが決めました。

山森 赤と白にしたのはコストを下げるため、という話もありますが。

上村 そうじゃなくって、最初に赤を指定されると、ほかの部分の色を青や黄色にするわけにはいかないですよね。

山森 だから、デザイン上、白を選んだわけで、コストダウンのためではないんですね。

上村 コストはまったく関係ないです。じつはボディには、任天堂製品として初めてABS樹脂(注18)を採用しました。
プリント基板も初のガラスエポキシ両面基板(注19)で、超高いんです。なのでファミコンという商品は、じつは超高級品なんです。

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