編集部(以下編):それでは「VI」の話からお伺いしたいんですが、反響はいかがでしたか?
堀井:よかったというのも多いんですけど、期待はずれだったとか、「こんなの!」という声もデカく聞こえてくるんですよね(笑)。その割には、この時期に三百万本実売で売れてるんで、つまらないという声は一部じゃないかとは受け取っています。声はデカイけれども、結局面白いと思ってくれたんじゃないかと。
編:今までのドラクエの中でも最高峰じゃないかと感じましたが、他誌のインタビューなどでおっしゃられていた「簡単にするのをやめた」というのが、今のユーザーには厳しかったんでしょうか?
堀井:それは「ドラクエ」というのでなくて、RPGに飽きてる連中の声なんですよ。その人たちって、どのゲームやってもつまらないという人たちなんです。あとは、方法的にレールの上に乗ることに慣れてしまって、悩むことを楽しむというのじゃなくて、とにかく早解きしたい、あるいは考えたくない。ただ何も考えずに出来るゲームがいいとか。自分からその世界を楽しむ気持ちがないと、やる前から一歩引いてしまうんですよね。
編:ユーザー自身も考えて、せっかく遊んでいるんですから、もっと能動的にならなくちゃいけないということですね。
堀井:そうですよね。だからそういう意味で、スクウェアさんとは別の方法論だと思うんです。「FF」となると、映画的な演出をして、見せるお話を突き詰めていて、それはそれですごくいいことだと思うんです。でも、それは「FF」の方法論ですから。「ドラゴンクエスト」は、あくまでも「自分で体験する物語」ということで作ってきたわけです。「VI」はそれの集大成になったと思います。