>>698
実定法だけが権利の源泉ではないからな

たとえば北朝鮮には少なくとも日本と同様の表現の自由は存在しないが、しかし北朝鮮の憲法とか法律によって表現の自由が規定されていないからといって北朝鮮の人々に表現の自由という人権が存在しないということにはならない

また殺人罪や窃盗罪は私人間の権利義務関係を定める法律だが、これは憲法の私人間適用だというわけではないし、殺人罪や窃盗罪がないからといって生命保全の権利とか私的所有権といった人権が人々から失われるわけでもない

要するに表現の自由を含む自然権とは道徳的権利なのであって、それは憲法という実定法とは独立して存在するし、また国家の国民に対する権力行使を統制する立憲主義上の原則とは別に理解される必要がある

むろん財産権のように確立された自然権と比べると表現の自由は私人間の権利義務関係を強力に統制するものとはいえないだろうが、しかしそれは道徳的権利としての表現の自由が私人間で問題にならないということを意味するわけではない