2024年04月03日 13時50分

Intelが、2023年における同社のファウンドリ(半導体製造)部門の営業損失が69億5500万ドル(約1兆500億円)にのぼったことを明らかにしました。ファウンドリ部門の赤字は前年から大きく膨らんでおり、技術的リードを取り戻そうとするIntelにとって大きな打撃といえます。

Intelは米国証券取引委員会(SEC)に提出した書類の中で、2023年におけるファウンドリ事業の収益(Operating segment revenue)が189億1000万ドル(約2兆8700億円)だったのに対して、69億5500万ドルの営業損失(Segment operating income(loss))を計上しています。


2022年におけるファウンドリ事業の収益が274億9100万ドル(約4兆1600億円)だったのに対して、営業損失が51億6900万ドル(約7800億円)だったことを考えると、Intelのファウンドリ事業は2023年になってますます苦しい戦いを強いられているといえます。

投資家向けのプレゼンテーションで、Intelのパット・ゲルシンガーCEOは「2024年はチップ製造事業にとって最悪の営業損失を計上し、2027年頃に損益分岐点に達する」という予想を述べました。

さらにゲルシンガーCEOは、オランダ企業のASMLが製造するEUVリソグラフィ装置の買い替えに踏み切らなかったことなど、誤った判断がファウンドリ事業に打撃を与えたとコメントしました。
EUVリソグラフィ装置はシリコン製ウエハーに集積回路のパターンをプリントするための装置で、プロセッサの微細化には欠かせません。ASMLはこのEUVリソグラフィ装置の製造シェアをほぼ独占しています。
しかし、EUVリソグラフィ装置は1台あたり1億5000万ドル(約225億円)以上と非常に高価であることから、チップの製造コストが高くなるという懸念があったとのこと。ゲルシンガーCEOは、EUVリソグラフィ装置の導入を渋ったことで、Intelがシリコンウエハーの約30%をTSMCなどの外部委託製造業者に委託せざるを得なかったと明かし、将来的に外部委託製造業者への依存率を約20%にまで下げることを目指していると述べました。

ゲルシンガーCEOは「EUV以前の時代のIntelは、多くのコストを負担し、競争力がありませんでした。EUVを導入してからは、価格・性能・リーダシップの面でIntelにも競争力は大いにあると考えています」とコメントしています。

なお、ロイターによると、IntelがSECに文書を提出したあとにIntelの株価は4.3%下落したとのことです。
https://gigazine.net/news/20240403-intel-foundry-operating-loss-7billion-dollar/