今村は無数の氷の武器を造り出しては逃げるゴブリンに向けて放つ。
 その無数の武器に対して僕は白い粉を掛ける。すると氷の武器は溶けてアイスのようにどろりと水になった。

 「武器が……溶けた? お前、俺のスキルに何をしたんだよっ!」

 「単に塩を掛けただけだヨ、溶解熱サ」

 氷に塩を掛けると塩は空気中の熱を奪いその熱を発するようになる。
 その現象を溶解熱といい。その塩の発する熱によって氷は溶けてしまうのだ。

 「塩だと? 塩で俺のスキルが……溶かされたっていうのか信じないぞ」

 彼は再び氷の武器をいくつも作り僕目掛けて撃ち込んでいく。
 その武器を僕は塩をかけて溶かしながら歩んでいき、今村の目の前まで来てランスを突き刺した。