代表者は池谷いけたにハヨピラ。もちろんハンドルネームというやつだろう。
通称をイケハヨ。
ハヨピラというのは北海道にあるとある団体が過去に作ったUFOを召喚するための大規模な公園の名である。
池谷がこの名をつけたのはオカルトに造詣があってのことだろう。
なんでもイケハヨは超常の力を一般の人にも使える技術として確立したとのことで、その証拠に仮想通貨取引やM&Aで莫大な利益をあげているらしい。
そしてセミナーでは、その技術を惜しげもなく伝授しているとのことだ。
セミナーの値段、29万8千円也。

「高いですね、セミナー」
 純は驚きの声をあげた。
「ええ。息子が倉庫のアルバイトをやめてこれに参加するから金を貸してくれって……」

 話としては笑えないが、その瞬間、純はたまたまイケハヨの顔写真をクリックしてしまい吹き出す。
 つぶれた帽子に大きな黒縁メガネ。どこかきょとんとしたように見える表情は戯画化したカエルめいていて笑いを誘う。
おまけに痩せぎすで、首がひょろ長く曲がっているくせに顎と一体化していて、
顔というよりはひょうたんの上半分に似ている。
笑わせようとして写真を選んでいるとしか思えない。