地元の名士の坊ちゃんとの婚礼が決まったさえはん
婚礼の儀を前に幼い頃よく訪れた森に足を運ぶと、そこには古き友人であり狐の周子が

「もう来ちゃダメって言ったじゃん」

悪戯っぽい笑みはあの頃のままに、成長した周子は天女と見まごう程に美しかった

「うち、お嫁に行く事になったんどす」
「そうなんだ…おめでとう。じゃあ今日はしゅーこちゃんに友人代表の挨拶でもしてくれって?」
「いけずやわぁ。五年前も、その前も、そないにしてうちをあしらって」

「…周子はん。うちはーー」

後の世に伝説として語られる女狐の花嫁隠しである