なんとも抑えることができない感情。
社会性はないだろう。たしかに。
しかし私はチーズ入りナンを手に部下の頬をはたいた。
ナンの細っちょい所を支点に頬をはり、広がりを急速に始める平野のようなナンの部位に力が集積。
限界を超えたグルテンの粘度。
「ベタっ」と音を立て落ちる。
断面にはとろけたチーズが見える。
閉店後支店長がアルバイト学生とカーマストラを店内で展開し、その写真をネットに上げていたことが発覚。
お客様が口にする食べ物で遊んだことと、遊んだことへ本気で向かっていたのは私だけだった。
「喰いもので遊ぶな」
手先に残ったナンの残りを彼の眉間に投げつける。