15、実存主義についての概略

 実存主義という哲学用語がある。ぼくは長いこと「実存主義」とは何なのか、さっぱりわからなかった。
だから、手をつけるのがだいぶ遅れたのだが、面白い言説があり、
特にサルトルの小説「嘔吐」は傑作だったので、未熟者なりにぼくがまとめてみたい。
 まず、実存主義が有名になったのはサルトルの「嘔吐」からでまちがいない。
大流行したらしき実存主義は、盛んに研究された結果、キルケゴールが起源だとか、
さらには十一世紀のイスラム哲学のガザ―リ「哲学者の自己矛盾」にまでさかのぼるらしい。
いずれ、入手して読みたいものだが、まだ未読な状態で簡単に実存主義を紹介しよう。
 サルトルの「実存主義とは何か」によると、実存主義とは「実存は本質に先立つ」と要点をまとめることができるらしい。
 ぼくなりの解釈では、本質は物自体であり、実存は我々の表象として現れる現実である。
世界は、本質(物自体)が堅固であるのに比べて、現実存在は不安定でゆらめいている。