テーマがどこまで他者に迎合せずに自分の表現を貫けるかというなんだよな。

神谷はその時自分が面白いと思った事を客や審査員がどう受け止めるかなんて気にせずに表現する。
象徴的なのが赤ん坊をあやすときに通じるかなんて気にせず自作の詩を聞かせるところ。

徳永が神谷に憧れたのはその部分で、当初大衆受け狙いのキャッチーなギャグを否定してるが最終的には売れる為に妥協してしまった徳永と、自分を貫き続け売れないまま落ちぶれていく神谷の対比が面白い。

徳永は売れっ子になったが精神的な理想は満たされず、逆に神谷は徳永の成功に憧れ徳永の模倣をしてしまう。

徳永が神谷の模倣を責めたのは同時に自分自身を責めているんだよな。そこで売れる為に他人に迎合する自分を辞めて仕事もなくなり芸人も辞める。

一方で他人がどう受け止めるかなんて気にせず自分が面白いと思った事を表現する神谷は乳をつけるという極限まで行ってしまう。

それを涙ながらに責める徳永は同時に自分の究極の理想像の否定をしていて、一方神谷は自分の面白いと思ったものを表現し他人なんて気にしないという姿勢の中で実は徳永という存に面白いと言ってもらいたい、他人に受け入れられたかったという気持ちを吐露するんだよな。

最後に神谷が自分の胸を見て泣いたあと自分の思いついた漫才に笑顔になるところが素晴らしいわ。