数年に及ぶたゆまぬ努力の末、ついにロリエンに住み着くゴブリンのボスを打ち破ったインファ
「うぉおおおおお!!ついにやったぞ!!おい豆腐ぅー!!豆腐ー!?あれ、いねぇ…まぁいいか」
さっそく森の奥へと進むインファの前に現れたのは、筋肉の塊のような体に角の生えた頭を持つモンスター、タウアーミーだった
見たこともないモンスターに驚いていると、インファに気づき斧を手に向かってくるタウアーミー
「やろうってのか? いいぜ、知らないようだから教えてやる。俺の名はインファ!このロリエンの覇者だ!!」
インファがトーテムを地面に突き刺し、タウアーミーがその角をインファへと向け、そして――
目を覚ましたインファが辺りを見回すと、そこはいつものロリエンの森の入り口だった


「おい豆腐!見ろよ、こいつが俺の最新作だ!!」
「こ、これは…」
インファが差し出したクロスからは、僅かだが確かに魔を滅する力を感じられた
「俺はまだまだひよっこ鍛冶屋だけどよ、武器を作れば作るだけ腕が上がっていくのがわかるんだ。
 毎日楽しいぜ。そうだ、豆腐にも一つ作ってやろうか?」
インファの申し出を丁寧に断りながらも、生き生きとした表情で語るインファの様子に胸をなでおろす豆腐
(インファ殿が引退すると聞いた時は驚いたでござるが、新しい道を見つけたようでなによりでござる…)
インファはインファイターであることをやめた
タウアーミーに初めて敗れてから数年、己の拳を鍛え続けたインファ
しかしインファのどんな猛攻でもついにタウアーミーを地に伏させることはできなかった
自らの成長の限界を悟った時、インファはしかし絶望しなかった
「俺の拳が届かないなら、もっと可能性のある奴に託せばいい、そうだろ?」
「インファ殿…」
「よせよ、俺はもうインファイターじゃねぇ。俺の名は――」


何度倒れても起き上がり、自分よりも強い敵に立ち向かった男、インファ
彼は今でもロリエンを睨みつつエルブンガードの片隅で一人、鍛冶屋としての腕を磨きながら冒険者達の成長を見守っているという

「おう、よく来たな! ま、ゆっくり見ていってくれや!!」