日曜の朝、鯵鯖某所
軍艦愛好家たちが集まる小さなクランのランク戦オフが開かれようとしていた
集合時間10分前、既に来ているメンバーは5人
その輪の中へ、俺は愛艦の暁で乗り付けた
「おはよう!アカツキッドです!今日はよろしく!」
元気よく自己紹介する
「…あ、おはようございます」
「アカツキッドさんって隠蔽スキル付けてますよね?迷彩も…」
なぜか皆の視線が泳いでいる
「遅くなってスイマセ〜ン!」
ベルファストに乗ったオッサンが大きな声を出しながらやってきた
「幹事のベルファストオヤジです。今日は皆さんよろしくお願いします」
この人が今回のオフの主催者であり、サイトの管理人でもあるベルファストオヤジさんだ
「あ、どうも!アカツキッドっす。よろしく」
俺が挨拶をすると、ベルファストオヤジは眉間にシワをよせて、俺と暁をジロジロと見てきた
「え〜っと…アカツキッド君だっけ?君さぁ、今日どこに行くか知ってる?」
「え…?ファーストを目指しながらランク戦オフっすよね?」
「うん。で、君の駆逐艦…それツリー艦だよね?」
何が言いたいのかわからない。愛艦をツリー艦呼ばわりされてイラっときた俺は言った
「何が言いたいんスか?」
「ランク戦に乗るんだけど…ツリー艦じゃ乗れないよね?」
「…大丈夫っスよ!ブン回せば皆さんに迷惑かけないくらいのスピードは出ますし」
爆笑の渦が起こった。そしてベルファストオヤジは苦笑いしながら言った
「ツリー艦はランク戦を走っちゃダメなんだよ。それにその隠蔽距離を見てごらん」
視線を落とす。そこには7.4kmが限界のメーターがあった
「ベルファストはレーダー使って襲って来るからね。君の暁じゃ逃げられないよ(苦笑」
俺は泣きながら家に帰ると、そのまま枕を濡らして眠ってしまった
目を覚ますと午後10時、パソコンの電源を入れてあのサイトを覗いてみる
そこの掲示板には、今日のランク戦オフを楽しそうに振り返るメンバーたちの書き込みがあった
俺は偽ハンドルネームを使って『ベルファストオヤジ臭ぇんだよ!死ね!』と書き込む。
すぐに管理人からのレスがあった
『暁君だね。当サイトのルール通り、君をアク禁にします』